大豆イソフラボンが薄毛対策に効果的という話、一度は耳にしたことがある人も多いと思いますが、実際のところはどうなのでしょうか。
そもそも大豆イソフラボンとはその名の通り大豆に多く含まれる成分の一つです。多く含まれるとはいっても、大豆の主要成分はタンパク質、炭水化物、脂質などであり、微量の機能性成分の一つとして大豆イソフラボンが含まれています。
大豆イソフラボンの前に、まずは大豆について簡単に説明していきます。
大豆の起源は約4000年前の中国とされており、日本に伝来したのは約2000年前といわれています。日本最古の歴史書である古事記にも大豆の文字が使われていることが確認されています。大豆という名前の由来は大いなる豆、つまり、豆の中でも一番という意味で名づけられたとされるのが一般的な解釈ですが、古来より日本の食生活の中心に大豆があり、長寿大国ニッポンを支える屋台骨となっています。
その栄養価の高さから「畑のお肉」とも呼ばれる大豆ですが、成分はタンパク質をはじめ、脂質、糖質、カリウム、マグネシウム、カルシウム・・・とにかく種類が豊富。一方でコレステロールが全く含まれていないことも注目されています。
公益財団法人日本豆類協会によると、大豆100gあたりの成分値は以下の通りです。
・エネルギー 422kcal
・タンパク質 33.8g
・炭水化物 29.5g
・脂質 19.7g
・水分 12.4g
・灰分 4.7g
この中でも注目は、やはり全体の30%以上を占めるタンパク質。肉にも匹敵するような良質なタンパク質が「畑のお肉」といわれる所以になっています。タンパク質は筋肉や血液、そして髪、毛根などを構成するうえで欠かせない成分ですから、不足すると体力が落ちたり、血管が弱くなったり、体に与える影響は小さくありません。そういった意味では適度なタンパク質を摂取することは健康を維持するためにも必要なことなのです。
また、機能性成分も多種多様、様々な効果が期待されており、主だった成分となるのは以下の通りです。
・大豆タンパク質 ・・・ コレステロール低下
・食物繊維 ・・・ 便通改善
・植物ステロール ・・・ コレステロール低下
・大豆レシチン ・・・ 脳の老化防止
・大豆イソフラボン ・・・ 女性ホルモン類作用
大豆イソフラボンのフレーズが登場しましたので、ここからはいよいよメインとなる大豆イソフラボンの説明です。
女性ホルモン類作用とは、大豆イソフラボンの化学構造が女性ホルモンのエストロゲンに似ているため、女性ホルモンに似た作用があるということです。別名「植物エストロゲン」と呼ばれることもあります。「畑のお肉」の中の「植物エストロゲン」ってもう原型がなくなってしまっていますが、女性ホルモンに似た作用とは、髪にハリやツヤを与えたり、お肌の新陳代謝を促進する効果などが挙げられますが、逆にマイナスの作用として乳がんの発症、再発などが指摘されています。
そして、この女性ホルモンに似た成分が男性ホルモンの働きを抑制する作用があるため、抜け毛や薄毛を予防してくれる可能性があるといわれているのです。
薄毛の原因とされているのが、男性ホルモンの「ジヒドロテストステロン」の働きです。
馴染みのない単語なので大きくします。
ジヒドロテストステロン
です。
このホルモンは毛髪の元となる細胞の働きを低下させる作用があるといわれていますが、食生活の乱れ、運動不足などが原因でホルモンのバランスが崩れると、薄毛が進行するといわれています。
一方で、大豆イソフラボンには薄毛の原因とされる「5αリダクターゼ」の働きを抑制する作用があると言われているため、薄毛を予防してくれる可能性があります。
こちらも大きくします。
5αリダクターゼ
です。
「5αリダクターゼ?薄毛の原因はジヒドロテストステロンじゃないの?」
という疑問でてくると思いますが、
実は、「ジヒドロテストステロン」は「テストステロン」という男性ホルモンと「5αリダクターゼ」という酵素が結合することで生まれます。つまり、大豆イソフラボンで「5αリダクターゼ」の働きを抑制することによって、結果的に「ジヒドロテストステロン」の量を減らすという図式になります。
「テストステロン」+「5αリダクターゼ」=「ジヒドロテストステロン」
元来日本の食生活において、味噌や醤油など大豆由来の食品が日常の食事で取り入れられているので、大豆イソフラボンが不足することは少ないと考えられています。しかし、近年は食生活の変化に伴い摂取量が減ってきており、サプリメントなどで取り入れたいという需要も増えてきているようです。
いずれにしても適量を摂取していれば身体も髪も健康元気!毛活にもプラスになることは間違いありません。
ちなみに、大豆繋がりで節分の話をひとつ。
節分にまく豆は一般的に大豆ですが、豆は魔滅(まめ)。魔を滅する、という意味が込められています。一つ注意が必要なのは、豆まきに使う大豆は必ず炒った豆でなくてはならないこと。なぜかというと、生の豆をまいて万が一拾い忘れると、そこから芽が出てきて縁起が悪いからだそうです。
そして、自分の数え年の数だけ豆を食べると病気にならず健康でいられると言われています。皆さんもしっかりと年の数だけ大豆を食べて大豆イソフラボンを吸収しましょう。
◇大豆イソフラボンのプラス効果
・骨粗しょう症の予防
・更年期障害の軽減
・肌の新陳代謝の促進
・髪のツヤ、ハリの増進
・ガンの予防
・悪玉コレステロールの排除
◆大豆イソフラボンのマイナス効果
・子宮内膜症の発症リスクを高める
・乳がんの発症と再発リスクを高める